ファークライ3 ―ヘタレ主人公は、狂気の島で生き残れるか?

 本日の話題は、『ファークライ3』です。

 ファークライは、ジャングルを舞台にしたオープンワールドタイプのFPSです。
 オフロードをバギーで駆け抜けたり、滝壺目掛けて飛び込んでみたり、グライダーで大空を気持ちよく飛んでみたりとジャングルライフを楽しむことも出来ますが、この美しい舞台にも危険は潜んでいます。野生動物、マラリア、そして、海賊達です。(2では、ゲームのシステムにマラリアが存在しましたが、3ではなくなりました)
 しかし、人によっては、むしろこういった脅威との戦いの方に魅力を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。密林のハンターの如く、草木に潜んでライフルを構え、獲物が視界に入るのをひたすら待つ、もしくは、軽機関銃のトリガーを引き続け、ありったけの鉛玉を海賊共の体にぶち込む、そんな素敵な(?)ジャングルライフを体感したい人には是非ともお勧めのシリーズです。
 そして、ファークライと言えば、火炎放射器です。その辺の草木に向かって放火すれば、辺りはたちまち火の海に!まあ、他のFPS同様に実用性については疑わしいところがありますがw

 前作『2』に関しては、確かに魅力は存在するものの、あと一歩の実に惜しい作品でした。

 ジャングルの美しい景色を描き切った圧倒的なグラフィックや登場人物の豊かな表情は、当時としては、最高水準にあったと思いますが、インターフェイスは最小限のものにとどめられており、銃は使い続けるとジャムを起こしやすくなり、最終的に暴発してしまう等、徹底的にリアリティにこだわった作品だと言えました。
 ただし、それ故にゲームとしては不親切であったことも否めませんし、リアリティにこだわるあまり、とにかく画面が揺れまくるので、非常に酔いやすいタイトルとしても悪名高かったと思いますw
 そして、最大の難点は、アジトを陣取る敵のリスポーンがあまりにも早すぎること。本作はオープンワールドであるため、必然的に行ったり来たりする羽目になるのですが、その度にゲリラと戦わなくてはならないため、最初の頃は別に問題だとは感じませんが、中盤辺りで段々鬱陶しくなってきます。
 プレイヤーの選択で変化するシナリオやゲリラと正面からやり合うか、もしくは、ステルスで一人ずつ片付けていくか、といったように攻略に幅がある等、自由度の高さも魅力的な本作でしたが、これらの要素で台無しにしてしまった感じはあります。

 さて、『3』については、E3での発表の段階でも既に衝撃的な作品であったと思われますが、2における問題点を見事に解消しただけでなく、オープンワールド、もしくは、FPSにおける革新的なタイトルにまで進化したと言えます。

 開発がモンテリオールと聞けばピンと来られるかもしれませんが、本作は、アサシンクリードで培ってきた要素を盛り込んだ作品だと言えます。
 ゲーム開始時は、島のあちこちを海賊達が陣取っており、どこに行っても彼らに襲われる状況にありますが、海賊のアジトを制圧することにより辺り一帯を安全にすることが出来ます。また、鉄塔に登って辺り一帯の電波を正常化することで、周囲のマップが表示されるようになります。クエストも充実しており、住人の悩みを解決するものだけでなく、医療物資を時間制限内に車両で運んだり、ダンジョンタイプのアジトを攻略したり、といったものがあります。収集品集めもありますが、洞窟や遺跡に隠されている場合もあり、冒険心がくすぐられます。
 そして、何故かインターフェイス面までもアサシンクリードっぽさが出ていたりしますw

 ゲーム面に関しては、特にステルスアクションに力を入れているように思えました。
 サプレッサー付きのハンドガンやスナイパーライフルで敵を倒すことも出来ますが、背後から接近すれば、音を立てずに敵をダウンさせることが出来ます。また、自分の真下にいる敵に飛びかかったり、海に引きずり込んだりといったことも出来ます。
 魅力的に感じたのは、倒した敵のナイフを抜き取り、近くの敵に投げてキルするアクションでしょうか。実用性も高く、見た目の格好良さもあるアクションだと言えます。ナイフだけでなく、銃を抜いて攻撃したり、グレネードのピンを抜いて蹴り飛ばす、といったことも出来ます。そして、倒した敵をそのまま引きずって物陰に隠すアクションも重要だと言えます。
 アクションに関して他には、最近流行りのスライディングも出来ます。しかし、相変わらず匍匐前進は出来ないようです、残念。
 とは言え、アクションの内容はかなり充実していますし、各種武器と組み合わせれば、ステルス要素だけでも攻略の幅がかなり広いと言えます。

 ステルス要素が充実しているだけあって、海賊達が陣取るアジトの攻略も魅力的なものだと言えます。他の敵に気がつかれないように一人ずつ片付けていく時のスリルは、ステルスならではの魅力です。
 また、敵に気付かれ、警報機を鳴らされると増援を呼ばれますが、細工をすることで止めることが出来ます。ちなみに、銃で撃って壊すことも出来ますが、全ての警報機を一度に止めるためには、細工する必要があります。
 海賊にも種類がいて、ライフルやマシンガンを持った奴は、基本的に物陰に身を隠しつつ撃って来ますが、ショットガンやナイフを持った敵は、突撃してくる傾向にあります。また、酔っ払いに見える敵は、火炎瓶を持っているので注意が必要です。何故か胴体に火炎瓶を巻き付けているので、撃つと炎上しますw重装備をした敵は非常に厄介な存在。銃では殆どダメージを与えられないため、地雷やC4での始末が基本となりそうです。そして、索敵能力の高い軍用犬も地味に厄介な存在です。
 基地には、固定機関銃やシューターでお馴染みのオイル缶といったギミックも存在するため、これもフル活用しましょう。また、野生動物が檻の中に入っているケースもありますが、檻を撃つと解放することが出来ます。特にトラは非常に強いので、解放した途端、海賊共を全滅させてしまうことも十分あり得ますw

 高台を陣取って敵の位置を把握し(マーキングできますb)、そこからスナイパーライフルで狙撃していくのもいいでしょうし、自ら出向いてナイフで一人ずつ始末していくのもいいでしょう。ええい、面倒だ!という方は、ライトマシンガンを担いでいざ突撃!突撃前にありったけの火炎瓶を放り投げたり、野生動物を開放して基地内を掻き回すとパーティーみたいに楽しくなるかもしれません。
 頭脳プレイヤーを自負するなら、C4や地雷をフル活用して敵を計画的に始末することに挑戦してみましょう。この時、敵の注意を引く石ころも地味なようで意外と使えるかもしれません。

 最近では、RPGだけでなく、多くのゲームで採用されるようになったスキルも本作には実装されています。敵を倒したり、クエストをこなしたりすることで経験値を獲得することが出来まして、これが一定以上溜まると、スキルを解放することが出来ます。
 敵を倒すために有利なアクションを習得したり出来るのはもちろんですが、水中で息が長続きするスキルや物を売った時の価格が上昇するといった何気に便利なものまで多数存在します。
 最初は、銃撃戦でもすぐやられますし、野生動物、特にトラとの戦いは死を意味しますが、スキルを解除していくことでより生存率が上がることは言うまでもありません。

 ゲームとしての魅力はもちろんのことですが、本作で最も注目すべきは、やはりシナリオでしょうか。
 前作は、屈強な傭兵や裏社会の人間といったタフな連中を主人公として選べたのですが、今作は、都会育ちの軟弱な青年が主人公ですwライフルを構えても全然パッとしませんw
 主人公のジェイソンは、兄弟や友達を連れてバカンスでルークアイランドにやって来たのですが、地元で幅を利かせている海賊達に掴まってしまうというところから物語がスタートします。主人公が決してタフではない一般人ということもあり、海賊達に見つからないよう逃れる冒頭のシーンはリアルな怖さがありました。そういうこともあって、元軍人である兄グラントは頼りになる存在に思えましたが、まさかの悲劇に見舞われます。グラントのかたきである海賊の頭バースは、ジェイソンに逃げるように言いますが、気まぐれで生かされたわけではなく、これは性質の悪い遊びの始まりに過ぎませんでした。必死に逃げるジェイソン、海賊はそんな彼をキツネ狩りの感覚で追い詰めようとします。背後から銃で撃たれるわ、ヘリまで出動するわでリアルにこんな目に遭ったらマジで泣くだろうなという恐ろしさがあったと思います。もちろん、これらは、全てムービーなどではなく、実際にプレイヤーが動かせるシーンでの出来事です。
 冒頭のシーンから分かるように、本作は、演出面に関してもかなり力を入れていると言えます。冒頭のシーンだけでもかなり衝撃的でしたが、物語が進めば更に強烈なシーンを体感することになると思いますのでお楽しみにb

 本作は、狂気をテーマとした作品であり、出てくる登場人物の大半が一風変わった人だったりするわけですが、悪く言えば異常者であり、よく言えば、強烈な個性を持つキャラクターだと言えます。
 特に、海賊の頭、バースは一押しだと言えます。一見、頭のネジが外れただけの男に見えますが、彼の吐く台詞は妙に的を射ていたりします。あの手この手でジェイソンを始末しようとしますが、そのやり方が容赦なくエグいwしかも、バースは常にジェイソンの一歩上を行っているため、こいつには敵わないんじゃないか?と心のどこかで思ってしまうわけです。プレイヤーに恐怖心を植え付けるには十分な存在だと言えます。
 主人公のジェイソンを差し置いて、ちゃっかりパッケージイラストをジャックしたくらいの男ですから、それだけの魅力があることは言うまでもありません。
 また、ジェイソンを含め、彼の兄弟や友達は、皆一般人以上でも以下でもありませんw映画などでは、基本的にタフなキャラクターが活躍するのがお約束なのですが、本作は、決してタフじゃない一般人の彼らが活躍します。ヘタレなのは言うまでもありませんw
 彼らの吐く弱音の数々は、確かに我々がそういう状況に置かれればそう言うだろうとは思いますし、彼らの必死さは十分に理解できますが、悲惨な目に遭っているにも拘らず、状況と人物がミスマッチなためか、シュールな光景にしか映らないというwとあるシチュエーションでは、BGMとしてワルキューレの行進を流したりする辺り、ブラックユーモアとして受け取ってい良いのは間違いなさそうですw

 美しくも厳しい環境であるジャングルでの生死を分けるサバイバル、その主人公に抜擢されたのが、幾つもの死線を潜って来たタフガイではなく、都会育ちの軟弱な青年というのは、ある意味シュールな設定に思えるかもしれません。ただ、本作はブラックユーモアがあっても決してお馬鹿なゲームではなく、むしろ、基本的にはシリアスな物語ですし、人間の怖さや狂気を描いた作品でもあります。
 また、本作は、軟弱な青年が立派な戦士に成長していく姿を描いた物語であり、そこに魅力があると言えます。一方、戦士になるということの意味、その代償についても考えさせられるものがあり、そこに、ファークライのテーマである狂気が上手く絡んでくるわけです。

 シングルプレイだけでも十分に遊べる内容だと言えますが、マルチプレイに関しても充実した内容だと言えます。残念ながら、対戦は過疎気味なため、感想を書ける程遊べませんでしたが、協力プレイについてだけでも紹介したいと思います。

 協力プレイの舞台は、本編と同じくルークアイランドとなりますが、オープンワールドではなく、従来のFPSのように決まったルートを進むものであり、また、物語も独自のものが展開されるため、全く別のゲームのような感覚で遊ぶことが出来ます。
 しかも、武器やスキルといったものがあり、レベルを上げるとこれらがアンロックされていくため、何度も繰り返し遊ぶことが出来ますし、シナリオは全部で六章で、一つの章のボリュームが結構あります。
 味方と協力して敵を倒す、ダウンした仲間を助けるといったことだけでなく、ウォークライというアビリティを使って体力を増やしたり、回復速度を高めたり等、味方をサポートしたりすることも出来ますし、場面によっては、一人が物を運び、他が援護する必要性に迫られることもあります。また、ボーナスステージのようなもので、味方同士で競いあう楽しみも用意されています。
 襲って来る敵の数は、本編の比ではなく、難易度がノーマルであってもかなり手応えのなる内容となっています。それ故に難所を攻略した時の達成感を皆で分かち合う喜びもあると思います。
 オマケ程度の内容かと思っていましたが、意外にもしっかり作られており、かつ、熱中出来る内容となっているため、このモードだけでも十分に遊べると感じました。

 ファークライ3における問題点も挙げておきたいと思います。
 まず、2の問題点であった酔いやすさですが、今回もかなり酔うと思いますw車両に乗っている時はかなり酷いですが、普通に歩いているだけでも結構揺れます。過去、FPSで酔ったことがある方は、注意が必要だと言えます。
 次にローカライズの点ですが、吹き替えに関しては問題なく、むしろさすがUBIソフトだと言えるものとなっていますが、残念なのは、テキストの方でしょうか。特に、ジョークに関しては、そのまま訳してしまうと意味が分からないため、日本でも通じるものに差し替えるべきでした。アメリカンコウベビーフってなんだよw
 野生動物、特にトラがかなり強い点でしょうかwプレイヤーにとって脅威となるのは、まあ、自然に考えれば普通のことなのかもしれませんが、一匹だけで基地内の海賊を全滅させる程の強さってどうなんでしょうかw視界に入るもの手当たり次第襲い掛かるってのもなんだか不自然な感が否めません。
 また、インターフェイスの充実化等を含め、前作よりもカジュアル寄りになった(難易度が落ちたという意味ではない)3ですが、コアなユーザーのために、リアルサバイバルモードみたいなのがあっても面白かったかもしれません。このモードでは、前作と同じようにマラリアの症状があり、銃を使用し続けると消耗するといった要素に加え、定期的に空腹、睡眠、水分を満たす必要があるシビアなものです。まあ、僕自身は挑戦する気無いと思いますがwこういった要素を求めている人もいたのではないかと。

 E3での発表時、リゾート地でバカンスをしていたら地元のゲリラグループに拉致された、という設定に衝撃を受け、本作に対する期待が高まっていたわけですが、いざプレイしてみると、その期待すら上回り、今後が楽しみなシリーズの一つとなりました。
 本作は、アサシンクリードを含め、UBIソフトが長年培ってきたアイディアと技術を盛り込んだものであり、その集大成だと言えます。このゲームには、並みならぬ情熱が注がれている、そんな感じがしました。
 本作は、オープンワールド、ステルスアクション、FPSといったゲームに興味がある方はもちろん、軽機関銃と火炎放射器に並みならぬ愛を持つ方にもオススメの作品だと言えます。また、前作が今一つだったと感じられた方も、今作はきっと気に入ると思いますよ。

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Author:桜の灯籠
ジャンルでは、RPGやFPSが好物。
シリーズだと『ゼルダの伝説』『ポケモン』『The Elder Scrolls』『Halo』かな。
でも、面白ければ何でもやるぜb

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